猫をお迎えするとき、飼育環境についても考えておかなければなりません。
室内飼いか放し飼いか。
猫の健康面や安全面を考えると、放し飼いするよりも、室内で飼う方が良いでしょう。
しかし、自由気ままな性格の猫を室内だけで飼うのは可哀相だと感じる人もいるかもしれません。
今回は猫の室内飼いについてメリット・デメリットと猫にとって室内飼いは不幸なのか?についてご紹介します。
あわせて読みたい!
「猫の性格と習性」
まずは、室内飼いのメリットとデメリットから考えてみましょう。
室内飼いのメリット
事故を避けられる
外にでる出る猫の死因で多いとされているのが交通事故です。
猫は後退が苦手な動物であり、走り出したら一色線に進んでしまいます。
また、車の大きな音に驚いてその場で固まって動けなくなるという習性もあります。
道路を猫が横切ってヒヤッとした!という経験をしたことがある方もいらっしゃると思います。
また、猫は暖かいところを好むため車のエンジンルームに入り込むことがあります。
「冬場はエンジンをかける前にボンネットを叩いてみてください。
猫がいるかもしれません。」
最近はそんなCMが流れているのを目にしている方も多いのではないでしょうか。
これは先代猫の関わりでお世話になった方に実際に聞いた話なのですが、その方のお知り合いが「冬場にエンジンルームに猫がいたらしく、エンジンをかけたら凄い声がした。病院に連れて行ったが怪我が酷く助けられなかった。」そうです。
こういった事故や交通事故は室内にいれば防ぐことができます。
感染症を予防できる
室内飼いは、猫の体調不良の原因となるウイルスや感染症のリスクを下げ、猫同士のケンカで負うケガなどを予防することができます。
感染症は、ワクチン接種をしていればある程度は防げますが、それでも100%ではありません。
猫同士のケンカなどによって感染する猫エイズは、まだ根本的な治療法がありません。
予防するには感染経路である外猫との接触を避け、室内で飼うことが非常に有効となります。
また、ノミやダニは猫の皮膚病の原因になったり、人にとってもアレルギーや皮膚病発症などの影響があります。
こちらも、室内飼いすることが予防策になります。
このように室内飼いであれば、重大な感染症の予防になります。
またいつも近くで猫の様子を観察できるので、健康管理もしっかりできますし、ワクチン代も安くすみます。
我が家のお二人をワクチン接種に連れて行ったとき獣医に「外に出ますか?」と聞かれ「出しません」と答えた結果、3種混合ワクチンになりました。
獣医曰く「完全室内飼いなら、3種混合で十分です。お外に行くなら5種の方がいいですよ。」とのことでした。
ワクチンについては別記事にて詳しくご紹介しますね。
ケガを予防できる
地域差もあると思いますが、外にはたいてい野良猫がいます。
特にオス猫は縄張り争いなどから、野良猫と喧嘩になり噛まれたり引っかかれたりして怪我を負って帰ってくる場合もあります。
野良猫との喧嘩で怪我を負ってしまった場合、すぐに帰ってきてくれればいいですが 帰巣本能があるとはいえ、何時間も何日もかけて帰ってくる子もいます。
そうなった場合、傷から菌が入り感染症を起こしかねません。
室内飼いだと野良猫との直接的な接触はないので、その心配はありません。
ただし、室内でも怪我のリスクはゼロではないので、室内環境を整えるのは大切です。
ご近所トラブルの防止ができる
ご近所に迷惑をかけることを防ぐことができます。
猫は頭が通れば体も通る動物ですし、高いところに飛び乗る、飛び越えるジャンプ力を持っています。
そして猫の糞尿はニオイがキツイものです。
猫は猫できちんと砂をかけニオイを消していますが、それでもニオイはするもの。
そういったのが嫌で猫避けをしている家も少なくないと思います。
愛猫がご近所のお庭に侵入したことで、ご近所トラブルに発展することもあるかもしれません。
室内にいれば、そういったトラブルは避けられます。
迷子の防止ができる
猫には帰巣本能があり行動範囲が狭いとはいえ、それでも迷子になる子はいます。
迷い猫の張り紙を見かけたことがある方もいらっしゃると思います。
たとえ首輪がついていても、猫が盗まれてしまうこともあります。
心ない人から虐待を受けてしまうケースも否定できません。
最近はニュースでも動物に関するものが増えているので、猫の連れ去りや虐待のニュースを目にしたことがある方もいらっしゃると思います。
不特定多数の人が行き来する場所では、虐待や連れ去りの犯人を特定するのが難しい場合も多くあり、泣き寝入りするしかないこともあるでしょう。
室内にいれば、そういった心配はありません。
室内飼いのデメリット
運動不足
外と比べると、室内で暮らす猫はどうしても運動不足になりがちです。
放し飼いの場合、縄張りと生活圏を行き来するため、室内飼いの猫と比べて運動量が多く肥満防止にも繋がります。
これは、猫じゃらしやおもちゃで遊んだり、キャットタワーやキャットウォークを設置するなどして、猫が運動できる環境を整えることで、運動不足解消になります。
また、フードによって肥満防止をすることもできます。
室内での事故
室内にいても猫に危険がないわけではありません。
室内で起こる事故に気を配る必要があります。
まず気をつけたいのは、誤飲・誤食。
猫が中毒を起こす食べ物はもちろん、ビニール袋や人の薬やボタンなど、飼い主が予想だにしないものを飲み込んでしまうことがあります。
猫は紐状のものが好きなので、特に糸くずのような紐状のものには注意が必要です。
また、電気コードなども紐状なのでイタズラされる可能性があります。
コンセントにプラグを指している状態で噛んでしまうと感電しますし、猫にイタズラされない予防が大切です。
その他、水をはったままのバスタブに落ちてしまう、カーテンやカーペットなどの布製品に爪が引っ掛かってとれなくなるなどの室内事故もよく挙げられます。
部屋の中を猫の目線で点検し、危険を予防することが事故防止に必要です。
室内飼いのメリットとデメリットについてご紹介しました。
ここからは、猫にとっての室内飼いとはについてご紹介していきます。
猫にとって室内飼いは本当に不幸なんでしょうか?
室内飼いと放し飼いでは平均寿命が大きく違う
飼育環境を整えることは、猫の健康のためにとても大切です。
2019年(令和元年)の一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査結果では、外に出ない猫の平均寿命は15.95歳に対して、外に出る猫の平均寿命は13.2歳と、2年もの差があります。
猫の1歳は人間に換算すると4歳ほどなので、人の年齢で考えると約10年ほど寿命が違うことになります。
ここまではっきりと差が出るのは、外の環境の過酷さが原因と考えられます。
猫同士のケンカでケガをしたり、感染症にかかったり、交通事故にあったりするのは、外だからこそといえるでしょう。
環境が整っていれば室内でも大満足
猫の性格を考えると、自由気ままに放し飼いの方が幸せなのではないか?と考えることもできますが、猫にとって快適な室内環境を整えれば、室内という限られたスペースでも幸せに暮らすことができます。
猫の行動範囲は狭く、食事を探すなどの特別な理由がない限り自分の縄張りの外に出ることはほとんどありません。
野良猫のように自由に動ける状態でも、メス猫は生まれた場所から600m以上離れることはほとんどないといわれています。
これは狩りをする他の動物と比べると非常に狭いものです。
また最初から室内飼いされている猫にとっては、家の中が自分の縄張り。
室内という縄張りには、生きていくために必要な食事と十分な水、そして安全な寝床があり、猫の住空間としては全く問題がありません。
整った環境の中で生活しているときに、危険を冒してまで縄張りを出たいと思う猫は少ないのはないでしょうか。
最後に
室内飼いのメリットとデメリット。
猫にとっての室内飼いとはについてご紹介しました。
いかがでしたか?
猫の性格や習性を考えると、放し飼いの方が良いのではないか?と考える方もたくさんいらっしゃると思います。
しかし、外の世界は猫にとって危険がたくさんあります。
逆に後退が苦手などの習性を考えると、室内飼いの方がいいと考える方もたくさんいらっしゃると思います。
外の世界での交通事故や野良猫との接触の可能性などを考えると、やはり室内にいてもらうのが飼い主としては安心です。
帰ってこないな~なんてヤキモキすることもありませんし、猫の体調の変化にも早く気づけて対応することができます。
また「猫 飼育環境」などのキーワードで検索をかけると、各県の福祉保健局や動物愛護センターのホームページがヒットしてきます。
そこでも室内飼いが推奨され、室内飼い推奨の理由も記述されています。
ご興味のある方は一度 検索してみてくださいね。