暑さが原因で体温調節に支障をきたし、体調不良を起こす熱中症。
猫の熱中症は決して珍しい症状ではありません。
猫のルーツ(祖先)は砂漠に住んでいたリビアヤマネコと言われており、その名残からか猫は比較的 暑さに強いといわれています。
しかし、いくら暑さに強い猫でも、気温が高い場所にいると熱を体外に逃がせず熱中症になります。
最悪 数分で命に関わる状態になることも!
熱中症はたとえ短時間であっても、命の危険があり実はとても怖いものなのです。
そこで今回は、愛猫を熱中症から守るために原因や症状、対策などを詳しくご紹介します。
短時間でも命の危険が?!|猫の熱中症の症状
猫の熱中症には以下のような症状があります。
下に行くほど悪化傾向です。
- 元気がなく、意識が朦朧としている
- 食欲がない
- 呼吸が荒く、口を開けてハァハァと呼吸している(猫は通常 口呼吸をしません)
- 耳や肉球が熱い
- フラフラと歩ていている
- ヨダレが多く出ている
- 脈や心拍数が早い・増加している
- 口腔粘膜や目が充血している
- 目が不規則に動いている
- 嘔吐する
- 血便・下痢が出ている
- 痙攣している
猫に上記のどれかの症状が見られた場合は熱中症の疑いがあります。
複数に当てはまる場合は、早急に応急処置を行い動物病院を受診しましょう。
短時間でも命の危険が?!|猫の熱中症の応急処置
猫が熱中症になったときの応急処置の基本は、猫の体温を下げることです。
ただし急激に冷やすことはせず、まずは猫を涼しい場所へ移動してから対処しましょう。
以下では、一般的に言われている応急処置の方法をいくつかご紹介します。
ただし、猫の状態を見て素人判断をせず、できるだけ早く動物病院に連絡を取り適格な指示を仰ぐこともとても大切です。まずは電話などで獣医師の指示を仰ぎ、応急処置をしながら動物病院へ向かうなどの対応をすると良いでしょう。
応急処置①|体を冷やす
水で濡らしたタオルや、布でくるんだ保冷剤を猫の太ももや脇の下に挟みます。
脇の下や太ももには大きな血管があるため、効率よく体温を下げられます。
もし猫が嫌がらないようなら、少し水をかけてあげるのも良いといわれています。
ただし、熱中症によって体内のバランスが崩れているため、体温が下がりすぎると低体温症を引き起こし命を落としてしまうことがあります。そのため、氷水など冷たすぎる水で急激に体を冷やすことは避けましょう。
冷やしている間は、こまめに体温を測り39度以下になったらやめるようにします。
応急処置②|水を飲ませる
猫の意識があって、自分で水が飲める状態であれば少しずつ水を飲ませてあげます。
自力で飲めない様子なら、無理に飲ませないようにしましょう。無理に水を飲ませようとすると、水が肺に入り誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
応急処置③|動物病院に連れていく
熱中症の症状が現れた場合、30~60分以内に適切な処置を施すのが望ましいとされています。
可能であれば、即 動物病院を受診することをおすすめします。
60分以内に動物病院へ行くのが難しい場合は、動物病院に連絡を取り相談しながら応急処置をします。決して自分の判断だけで処置を行わないように注意しましょう。
短時間でも命の危険が?!|猫の熱中症の原因
ここからは、猫が熱中症になる主な原因をご紹介していきます。
- 気温(室温)が高い
- 湿度が高い
- 風通しが悪い
- 日差しが強い
- 水分補給が困難な環境
猫が熱中症になりやすい環境は、人にとっても熱中症になりやすい環境です。
人の場合はエアコンをつけたり換気をしたりと自分で対策を打てますが、猫にはそれができません。
また、猫は汗をかける場所が肉球だけで、人のように全身から汗をかき体温を下げることもできません。さらに、犬のように舌を出して口呼吸で熱を逃がすこともできないため、呼吸による体温調節が苦手です。
そして全身に毛をまとっているので、室温、湿度、風通しなどにより人が気を配る必要があります。
以下のようなケースが、猫が最も熱中症になりやすい主な原因です。
猫の熱中症の原因①|風通しが悪く暑いところにいる
暑い日に留守番をさせるとき、風通しが悪く室内温度が高い部屋などにいると、熱中症になることがあります。また、人と同じように暑い車内に残すのもとても危険です。
最近の猛暑は扇風機で太刀打ちできないほど暑い日もあるため、できるだけエアコンを使用して室内の温度が上がり過ぎないようにすることが大切です。
猫と一緒に出掛けることがある場合には、猫をキャリーに入れて移動すると思いますが、このキャリーでの移動も熱中症の原因として挙げられます。
キャリーの中は思いのほか暑く、温度や湿度が急上昇しやすいだけでなく、不慣れな場所への移動で猫自身が緊張して体温が急上昇することも熱中症の発症に関係してくるため注意が必要です。
キャリーの中に、タオルで包んだ保冷剤や凍らせたペットボトルなどを一緒に入れて、熱中症対策をしてあげましょう。
猫の熱中症の原因②|水分をとれない
長時間 水分をとれないと脱水状態になり熱中症を起こしやすくなります。
水ボウルを設置していても、猫がボウルをひっくり返してしまったり、飲み干してしまって水が飲めない状態になることが考えられます。そのため、留守番のときには水ボウルを複数 設置してあげると良いでしょう。
短時間でも命の危険が?!|熱中症になりやすい猫
どの猫でも熱中症になりますが、特に熱中症になりやすい猫もいます。
熱中症になりやすい猫①|つぶれた鼻が特徴の猫
ペルシャなどの短頭種の猫は、体の構造上スムーズな呼吸がしにくくなっています。
鼻腔も狭いので熱の発散もしにくく、呼吸による体温調節が難しくなり熱中症になりやすいといわれています。
- ペルシャ
- ヒマラヤン
- エキゾチックショートヘアなど
熱中症になりやすい猫②|太り気味の猫
太り気味の猫は、皮下脂肪が多く体に熱がこもりやすいです。
さらに、かなり太っている猫の場合、首回りの脂肪で気管が圧迫されたり、内臓脂肪で胸腔が狭くなったりと呼吸機能が低下しがちです。
そのため呼吸による体温調節が難しく、熱中症になりやすい傾向にあるといわれています。
熱中症になりやすい猫③|子猫や高齢の猫
子猫は体の生理機能が未発達だったり、高齢の猫は生理機能が衰えているなどの理由から体温調節がうまくできないため、暑さに弱く熱中症になりやすい傾向があります。
熱中症になりやすい猫④|長毛の猫
毛の長い猫や北国育ちの猫の場合は毛に保温効果があるため、暑い日には体に熱をこもらせる原因となり、熱中症になりやすい傾向にあるといわれています。
それを解消するために、ブラッシングやシャンプーで冬毛を取り除いてあげるだけでも、かなりの熱中症対策とてしての効果が見込めます。
- メインクーン
- ノルウェージャンフォレストキャットなど
短時間でも命の危険が?!|猫の熱中症の予防方法
猫の熱中症は対策をしっかり行えば予防することができます。何より猫の体温が上がらないようにすることが大切です。
以下では、猫の熱中症対策をいくつかご紹介します。
すぐに実行できる事ばかりなので、愛猫と一緒に暑い夏を乗り切りましょう!
猫の熱中症の予防方法①|室温と湿度を適度に保つ
エアコンの冷房温度を28℃を超えないくらいの設定か、ドライに設定しておくと良いでしょう。
猫は自分自身での体温調節があまり得意ではないため、暑すぎる環境や逆に冷房が強すぎて冷えすぎている環境にいると、体調を崩す恐れがあります。
室内の冷房が効きすぎて寒いという可能性を考えて、キャットハウスや猫ベッド、毛布などを置いておくなど、猫が快適な温度の場所を見つけられるように工夫してあげることも大切となります。
扇風機のつけっぱなしは、猫が手や足を入れて怪我をする危険があるので、できるだけ避けた方が良いと思います。
そして冷房をつけているからといって、残念ながら安心はできません。
留守番中にエアコンが故障したり停電などで停止してしまうと、室内の温度は上昇し熱中症を引き起こす可能性があります。
そのため、できれば部屋のドアは閉め切らず解放しておき、猫が自分で快適な場所を探して移動できる環境を作ってあげましょう。
また、カーテンやすだれを利用して、直射日光を避けるような対策をすることも熱中症予防に繋がります。
猫の熱中症の予防方法②|快適な場所を準備しておく
猫は涼しい場所を自分で探して見つけ、移動します。
そのため、涼しい場所をあらかじめ作っておくのも良いでしょう。
日陰の多いフローリングの部屋や、バスタブから水を抜いた風呂場を開けておくなど、様々な空間を用意しておくと猫自身で涼しいと感じる場所を見つけて移動します。
その他に、クールグッズの活用もおすすめです。ひんやりするシートやクールマットやアルミプレートなどを、猫がお気に入りの場所に設置してあげると良いでしょう。
アルミ製の猫鍋などはオススメです。
使ってくれれば、ひんやり寛ぐ可愛い姿が見られそうです。
冷却マットを、猫がお気に入りの場所にひいてあげるのも良いかもしれません。
クールグッズに関しては、使ってくれるかどうか…正直 一か八かですが、ないよりもあった方が良いでしょう。最初は使わなくても時間が経つと使ってくれるようになる可能性もあります。
また、どんなクールグッズを好むのかは猫次第なので、色々試してみることをおすすめします。
猫の熱中症の予防方法③|水をたっぷり用意しておく
猫がいつでも好きなときに水が飲めるように、たっぷりの水を用意しておきましょう。
猫が水ボウルをひっくり返したり、水が蒸発する可能性を考えて、水飲み場を複数個所(複数個)設置しておくと安心です。
また、猫は新鮮な水を好む傾向にあるので、電動式で水を巡回させる水飲み場なども用意してあげると水分補給してくれやすくなるかもしれません。
ペットの体液に近い電解質で作られている、ペット専用の飲み物もあります。水分やミネラルをすばやく補給できるもので、ペット専用の経口補水液といったところですね。
短時間でも命の危険が?!|さいごに
猫の熱中症は、気温が高い時期は特に気をつけなければいけません。
もし愛猫に熱中症の症状がみられたり、熱中症になったときには早めに応急処置をして動物病院を受診しましょう。症状が軽くても、内臓にダメージを受けている場合もあるため、獣医に相談し受診した方が安心です。
また、熱中症になりやすいのは真夏だけと思いがちですが、秋は予想以上に残暑が厳しく、また長引くことがあります。7月や8月だけのこととは考えず、長期的に対策を心がけるとより安心です。最近では、5月や6月でも真夏日並みの気温になるので、夏前の時期も要注意です。
暑さが堪えるのは人だけではなく猫も同じ。人の熱中症のニュースはよく耳にしますが、動物の熱中症についてはニュースになることはないため「うちは大丈夫!」と思われる方も多いと思います。
しかし、猫も熱中症になります!
熱中症は飼い主が予防することで、防ぐことができるものです。
昨今の物価高騰で、電気代が高くなりエアコンを使うのも躊躇するかもしれません。しかし、悲しい事故が起こらないように、愛猫の安全な空間を作ってあげるのも飼い主の責任です。ぜひ、この機会に愛猫が安心して安全に過ごせる空間作りをしてあげましょう!
今回は、「短時間でも命の危険が?!実は怖い猫の熱中症」についてでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。