暖かくなってくると気になるのが「虫」
夏になったら猫も蚊の対策が必要です。
猫は犬と違い「フィラリア症」はあまり浸透しておらず、認知度は低いように感じます。
しかし蚊を媒介とするフィラリア症は、猫にも存在するのです。
最近では猫は、室内飼いが一般的になり、外に出ることが少ないことからあまり問題になっていませんが、原因不明の突然死の中には、フィラリア症によるものも存在することもあるといわれています。
今回は蚊が猫に及ぼす影響と安全な虫対策、気を付けたい虫対策についてご紹介します。
猫が蚊に刺されたときの症状

猫も人と同じように蚊に刺されますが、刺された部分が膨らんで痒くなることは一般的ではありません。
猫の場合、蚊に刺された部分というよりは、アレルギー反応で特定の場所に痒みなどが現れることが分かっているそうです。
蚊に刺された部分も痒みや腫れなどが出る可能性は否定できませんが、
毛に覆われているため判断が難しいこともあります。
発症する可能性のある病気
アレルギー性皮膚炎

アレルギー性の皮膚炎である「蚊刺咬過敏症(ぶんしこうかびんしょう)」を発症する可能性があります。
蚊刺咬過敏症は過敏症の一種です。
眉間~鼻の先までの部分(鼻梁部)と外に張り出している耳の部分(耳介)が症状の出るところです。
これは痒みを伴い、皮膚に発疹のような突起ができたり、脱毛、膿疱(のうほう)、かさぶた などがみられます。
耳の部分では色素の脱落などがみられる場合もあります。
眉間~鼻の先までの部分は腫れることが多く、肉球は角質が増えたり、かさぶた がみられることが分かっています。
フィラリア症

猫がフィラリアに感染した蚊に刺されることで発症する可能性があります。
フィラリア症は危険性の高い病気です。
猫も犬と同様に、フィラリアが寄生することで発症します。
猫のフィラリア症には、犬とは異なり少数のフィラリアの寄生であっても生命の危険があります。
猫の場合は、全く症状の出ない猫もいます。
しかし、症状が現れた場合は以下のような症状が見られます。
- 咳
- 嘔吐
- 息切れ
- 呼吸困難
- 食欲不振
- 元気消失
- 体重減少
一番多いのは呼吸器の症状ですが、それ以外にもさまざまな症状が現れる場合があります。
そのため、診断が遅れ感染が発見されずに突然死に至る可能性があるのです。
※猫のフィラリア症については、別記事で詳しくご紹介します。
猫が蚊に刺されると、皮膚病やフィラリア症を発症してしまうかもしれません。
では、猫の虫除け対策はどうすればよいのか?
ここからは、安全な虫除け対策、気を付けたい虫除け対策をご紹介します!
蚊取り線香

虫除けの代表と言ってもいい蚊取り線香。
蚊取り線香の成分は基本的に猫にも安全だと言われています。
主成分のピレトリンは菊の植物から採れるもので、猫だけではなく犬やハムスターなどの哺乳類と鳥類には安全に使えるそうです。
しかし、現代の蚊取り線香には天然成分のピレトリンではなく、科学薬品のピレストロイドが使われていることがほとんどです。
ピレトリンもピレストロイドも基本的には安全性に変わりはないといわれていますが、ごく稀に、人や猫にもアレルギー症状がでることがあるそうです。
使用していてアレルギー症状が出た場合には使用を中止しましょう。
また蚊取り線香は、誤飲をしてしまってもお腹を壊す程度らしいのですが、一番危険なのは蚊取り線香の火による猫の火傷です。
猫のいる部屋で蚊取り線香を使う場合は、猫の手が届かない場所で使用したり、猫が直接触れないように工夫する必要があります。
最近では「ペット用の蚊取り線香」も販売されています。
プラグ式 液体虫除け

ノーマットやベープなどのプラグ式液体虫除けも主成分は蚊取り線香と同じピレストロイドです。
そのため猫のいる部屋で使っても安全性には問題がないとされています。
またワンプッシュタイプの虫除けも、成分はプラグ式蚊液体虫除けと変わらないため、
猫に直接かけなければ、猫のいる部屋で使っても大丈夫です。
万が一、猫が液体を舐めてしまってもピレスロイド系の薬剤はほ乳類の体内に入ってもすみやかに分解、対外排出されるといわれているため安全性は高いといえるのではないでしょうか。
ただし、猫が液体を舐めてしまった場合は念のために水をよく飲ませ、異変がないか暫くは観察した方が良いでしょう。
動物病院を受診する場合は、舐めたものを持っていくか、ピレスロイド系の殺虫剤を舐めたことを獣医に伝えると良いでしょう。
プラグ式は火を使わない虫除けなので、猫にとっては一番安全な虫除けかもしれません。
また、最近では「ペット用のプラグ式液体虫除け」も販売されています。
電気・火を使わない虫除けネット

窓やケージに吊るしたり、床に置いて使用するタイプの虫除けです。
これは火や電気を使わないので、猫の火傷や家事の心配は全くありません。
またニオイもでないので、虫除けの独特なニオイが苦手な猫でも安心して使うことができます。
主成分はメトフルトリン(ピレスロイド系)。
メトフルトリンは昆虫の神経に作用する成分で、猫がいる部屋で使用しても問題ありません。
また、万が一 猫がネットを噛んだり舐めたりした場合でも、先述した通りピレスロイド系の薬剤はほ乳類の体内に入っても排出されます。
ただし、虫よけネットのネット部分や入れ物はプラスチック製で、これは消化ができません。
もし、ネット部分や入れ物を噛んで飲み込んだ可能性がある場合は、内臓にダメージを与える危険があるため動物病院の受診を検討した方が良いでしょう。
虫よけネットは、蚊取り線香やプラグ式に比べて効果が薄いと感じる場合もあるようです。
この虫除け単体での使用ではなく、蚊取り線香やプラグ式と併用するといいかもしれませんね。
アロマ虫除けには要注意!

植物由来成分のアロマ精油は、猫にとって危険なもの。
猫はアロマを直接舐めたりしなくても、アロマが炊かれた部屋にいるだけで体調不良になることもあるくらい、猫にとっては危険性が高いものです。
アロマオイルやアロマ虫除けに入っているティーツリーやユーカリなどは、猫にとって中毒性が高く危険です。
飼い主ご自身で虫除けアロマを作る場合や、虫除けアロマを使いたい場合は、猫のいる部屋では絶対に使わないことが大切です。
猫のことを本当に考えるのであれば、アロマで虫除けをするのは避けることを考えるのもとても大切です。
虫除けスプレーは成分を要確認!

現在は、蚊取り線香やプラグ式の他にペット用の虫除けスプレーも多く販売されています。
しかし、虫除けスプレーは要注意!
「ペット用」や「犬用」と書かれた虫除けスプレーには天然アロマオイルが含まれているものが多く、猫には危険なティーツリーが含まれているものが以外に多いのです。
「ペット用」「犬用」と書かれている虫除けスプレーは成分をしっかりチェックして、猫に危険なものが含まれていないか必ず確認をしてから購入することをおすすめします。
最後に

いかがでしたか?
猫も蚊に刺されることがありますし、病気を発症してしまう可能性もあります。
猫のフィラリア症は診断しづらいという特徴があり、突然死の原因の一つにもなってることが分かっています。
現在はペット用の蚊取り線香やプラグ式の液体虫除けも多く販売されているので導入を検討するのも良いでしょう。
家の中で使う場合、昔ながらの虫除け製品が一番安心できるかもしれません。
ただし、アロマ系の虫除けには注意です!
どうしてもアロマ系の虫除けを使用したい場合は、猫に有毒な成分の入っていないものを選ぶか、猫がいないまたは出入りしない部屋での使用にしましょう。
これから虫も蚊も多くなってくる季節。
人だけではなく愛猫にも虫除け対策をしてあげましょう。
猫が蚊に刺されない努力をすることはもちろん、予防を行うことはとても重要です。