「競馬ってギャンブルでしょ?」
「馬が走ってるの見て何が面白いの?」
競馬を見ている方は、1度くらいは聞かれたことのあるセリフかもしれません。
逆に、競馬をしない方にとっては当然の疑問かもしれません。
そういう私も競馬を見始めるまでは、同じように思っていました。
実際に競馬を見始めて、競馬はギャンブルという側面だけではなく
他にもたくさんの魅力が詰まったスポーツだと思うようになりました。
そこで今回は、ただのギャンブルではない競馬の魅力をご紹介します。
競馬とは?
競馬とは、端的に言うと農林水産省の管轄の元で行われる
国に認められた公営のギャンブルで、騎手が馬に乗って走り着順を競う競技です。
見ている側は、勝ち馬(1着馬)を予想し、賭けることでもあります。
ギャンブルとはいえ、鍛え抜かれた美しい馬と一流の騎手が人馬一体となって
時速60kgの速さで駆け抜けるレースは迫力満点で、ギャンブルというより もはやスポーツです。
実際に競馬場でその迫力を体感すると、馬券を買わなくても楽しむことができると分かります。
テレビでも人馬一体のかっこよさを十分に見ることができるでしょう!
このように競馬は、オリンピック競技にもある馬術や飛越のように
馬に乗って走るというスポーツの面と、お金を払って賭けるというギャンブルの面の
両方を持っているのです。
それでは、競馬の魅力をもう少し詳しくご紹介していきます。
競馬の魅力① 動物を相手にする競技
ギャンブルというと、どうしてもイカサマなどの不正があるのでは?
と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、競馬は「動物を相手にするもの」
動物もきちんと自分の感情を持っているため、人の思い通りにはいかないものです。
競馬は『騎手3割、馬7割』とよく言われます。
これは、レースにおける騎手と馬の重要度を示す比率で、競馬の格言のようなものです。
騎手は自分の中でレースを組み立て、馬に指示を出し走らせます。
しかし、馬も感情を持った動物。
騎手の思い通りに動いてくれない現実もあるでしょう。
どんなに馬の体調が良くても気分が乗っていないときもあるでしょうし
騎手が必死に鼓舞しても馬のテンションが上がってこない
もしくは馬のテンションが上がりすぎて騎手にコントロールできない状態が
あることも考えられます。
逆に、全然注目されていない馬が勝つことがあるのも事実。
注目されていなくても、馬の状態が絶好調で気分も最高潮、騎手との息もピッタリ合ったとき
その馬の真価が発揮されいきなりG1勝利!なんてことが起こるのも競馬の面白いところです。
このように、人が故意にレースを組み立てて作ろうと思っても
うまくいかないときがあるのは、走っているのが感情を持った動物だからといえます。
競馬に絶対はない。
これも競馬界ではよく聞く言葉です。
動物を相手にしているからこそ起こる奇跡のようなレース、度肝を抜かれるレース
ハラハラドキドキさせられるレースを見せてくれるのが競馬の魅力の一つであるといえます。
競馬の魅力② 競走馬の背景
競走馬は生まれてからデビューするまで、たくさんの人々が関わっています。
この世に生まれてから牧場で大切に育てられ、オーナー(馬主)に見初められ
その後はトレーニングセンター(トレセンと呼ばれる)ところに入厩し
調教師や調教助手、騎手や厩務員にお世話をしてもらいながら
競走馬としてのトレーニングを積みデビューを迎えます。
見ている側にとっては何気ない1勝でも、馬主や騎手にとっては初勝利かもしれません。
厩舎にとっては、やっと勝つことのできたレースかもしれません。
このように、1頭の競走馬にたくさんの人々が関わっており
そこにはさまざまな人の想いがのせられています。
どの競走馬にもその背景には色々な物語があります。
生まれてから何事もなくデビューできる馬もいれば、生まれつき蹄が弱かったり
脚に不安を抱えている馬もいます。
さまざまな壁を乗り越えられるよう、人は創意工夫しながら競走馬と向き合い
人馬共に無事にゴールすることを願いながらレースへと送り出します。
競走馬はそんな人々の想いを背負い、一生懸命レースに挑んでいるのです。
そういう視点から見ると、競馬は感動するスポーツと言えます。
物言わぬ動物が相手だからそこ生まれる感動やドラマがあります。
競馬の魅力③ 1頭1頭の個性
競走馬はきちんとトレーニングされていても、そこは動物。
1頭1頭 見た目も違えば、性格も違います。
その点に注目してみると、別の目線で競馬を楽しめるでしょう。
分かりやすいところでいうと、毛の色でしょうか。
サラブレッドの毛色は、鹿毛・黒鹿毛・栗毛・栃栗毛・青鹿毛・青毛・芦毛・白毛の
8種類に分けられます。
芦毛の馬は、子馬時代の毛色は黒か茶色が多く
年齢を重ねるごとに毛色がどんどん白くなっていくという特徴があります。
競走馬としてデビューする2~3歳頃は個体差はありますが
グレーの毛色になっている馬が多いでしょう。
そしてもっと年を取ると白馬になる!という面白い毛質です。
顔にもそれぞれ個性が溢れています。
馬の中には顔に白い模様(白斑)が出ている馬がいます。
この白斑は「星」や「流星」と呼ばれており、形によって決まった名前もあります。
「大流星鼻梁鼻大白」という必殺技のような名前がついていたりして調べていると面白いです。
グッドルッキングホースの代表格といってもいいかもしれないトウカイテイオー。
出典:via google imghp
男前ですね!
この流星の名前は何だろう?と調べてみるのも面白いところです。
その他にも、食事中に近づくと「あっちいけ!」と言わんばかりに威嚇する馬
おもちゃで楽しそうに遊ぶ馬、カメラを向けるとカメラ目線をする馬
パドックで寝転んでしまう馬、ゴール後 騎手を振り落としてしまう暴れん坊な馬だっています。
また、最近は厩舎で過ごす競走馬の様子をSNSで多く発信してくれているので
そこで垣間見れるレース中とは違った馬たちの顔を見ることもできます。
とても個性豊かな馬がたくさんいるので、きっとお気に入りの1頭が見つかるはず!
馬券は買わずに、競走馬に合うために競馬場へ行くファンもいるくらい
競走馬はとても魅力的なのです。
競馬の魅力④ 受け継がれていく血統
サラブレッドは競走用に品種改良され、人間の手によって生み出された品種の馬です。
ゆえに走ることに特化し、今もたくさんのサラブレッドが世界中で生まれています。
競走馬は繁殖牝馬(メス馬)と種牡馬(オス馬)を交配することで、生まれてきます。
繁殖牝馬も種牡馬もかつては競馬で活躍した馬が多いでしょう。
つまり、自分の応援していた馬、好きだった馬が引退後は親として活躍し
その子供たちを応援することができるのです。
また、兄弟・姉妹だからといって同じような能力で生まれてくるわけではないのも
血統の面白いところかもしれません。
例えば、ディープインパクトという有名な馬がいます。
獲得賞金14億円、通算成績14戦12勝というとても強い馬でした。
彼にはブラックタイドという全兄(父馬も母馬も同じという意味)がいます。
ブラックタイドもかつては競馬で走っていた競走馬でしたが
弟のディープインパクトほどの成績は残せていません。
彼らの両親は父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア。
同じ父と母から生まれても、近しい能力ではありません。
しかし、ブラックタイドの子供にキタサンブラックという馬がいます。
北島三郎氏が馬主のキタサンブラックです。
獲得賞金18億円、通算成績20戦12勝と、彼もとても強かった馬です。
ブラックタイド自身は成績が振るわなかったかもしれませんが
子供の代でサンデーとウインドの血が爆発した!という感じがしますよね!
このようにして、競走馬は代々血統を次世代へと受け継ぎ、その血を残していくのです。
受け継がれていく血統の視点から競馬を見るのも一つの魅力だと思います。
ちなみにブラックタイドとディープインパクトにはもう1頭 全弟オンファイアという馬がいます。
競馬の魅力⑤ レースでの駆け引き
先述しましたが、競馬は騎手3割、馬7割とよく言われます。
しかし、その馬の能力を最大限に発揮するためには騎手の力も必要になります。
レースを組み立て馬に指示を出すのは騎手です。
そこで生まれてくるのが騎手同士の駆け引き。
最初から徹底的に逃がすのか、中団で待機して最後の直線に賭けるのか
後方で待機して4コーナー手前あたりから追い上げるのか
同じレースに出走している強い馬を徹底的にマークするのか…。
ここの駆け引きが見ていて面白いところです。
はっきり言って、騎手の作戦は見ている側に全て分かるわけではありません。
しかし、レースをたくさん見ていると「いつもと乗り方が違うな」
「いつも積極的に前にいくのに今日は後方からなんだ」と気が付き始めます。
さらに「あの騎手あの馬をマークしている」と気が付くこともあります。
そういう駆け引きを見るのも面白いですし、騎手の乗り方の特徴や
馬の脚色(馬の走りっぷりのこと)なんかが掴めてくると
それをもとに予想を立てて馬券購入の参考にすることだってできます。
スポーツとしての駆け引きと、ギャンブルとしての駆け引き
両方の面が楽しめる部分ではないでしょうか。
競馬の魅力⑥ ハラハラドキドキ感
週末や祝日に行われている競馬。
走り抜ける馬の美しさや騎手のかっこよさは、見ているだけでも十分に楽しめるのですが
馬券を購入して楽しむのも競馬の魅力の一つ。
勝馬投票券と呼ばれる馬券は100円から購入することができます。
よく「万馬券」とか「数百万円の配当金が出た」と耳にするかと思います。
これだけの配当金を得るには、数万円や数十万円のお金をかけないといけないんじゃないの?
と思われるかもしれませんが、実は100円が数万円になることだってあるのです。
1枚の馬券で数十万、数百万を当てるのは難しいので
何枚(何パターン)かの馬券を購入することになると思いますが
それでも1枚100円でと考えると、そんなに敷居も高くないしお手軽に楽しめる賭け事といえます。
「WIN5」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
このWIN5はJRAが指定する5つのレースで1着になると思う馬を選び
5レース全ての1着馬を当てる馬券です。
5レース全て当てると的中となり配当金がもらえるのですが、その額が半端ない。
その日のレース結果に依存するのですが、過去には4億8千万円の配当金が出たこともあります。
この4億円8千万円の配当金が出たのは実は2021年1月11日のことです。
もちろんこんな大金を当てるのは難しい(笑)
予想組み立てもあるでしょうが、運も必要でしょう。
しかし、100円が1万円になったら…掛け金が100円じゃなく1000円だったら十万円…
そう考えると、夢がありますよね!
私も100円馬券が1500円くらいに化けたことがあります。
私の場合はカナリしょぼいですが(汗)
大好きな馬が出走すると知って、久しぶりに馬券を買ったときでした。
応援していた馬は、過去にG1勝ちもしている馬でしたが、このときの人気は10番と人気薄。
それでもその馬が大好きだから、応援の気持ちで買った100円馬券が1500円に…。
テレビで中継を見ていたのですが、最後の直線では
「このままイケるかも!イケ!」というレース展開でドキドキしながら見ていました。
まさに「手に汗握る!」といった感じでした!
このハラハラドキドキ感を100円から味わえるのも競馬の魅力の一つではないでしょうか。
最後に
いかかでしたでしょうか?
競馬はここに挙げた他にも、たくさんの魅力が詰まっていると思います。
ギャンブルとしての面を捉えて楽しむも良し!スポーツとしての面を捉えて楽しむも良し!
騎手を追いかけるも良し!馬を追いかけるも良し!
楽しみ方は人それぞれです。
競馬場では、馬とのふれあいイベントや騎手のトークショーなど
様々なイベントを開催しているので
賭け事をしに行くだけの場所というわけではないように思います。
お子様向けの遊具などもありますしね!
競馬場グルメも魅力的だと思います!
競馬は、たくさんの魅力が詰まっているからこそ
長い歴史があるのだと個人的には思います。
競馬はただのギャンブルではなく、歴史もあり、スポーツとしても楽しめるものです。
競走馬にも騎手にも、厩舎にも調教師にもそれぞれに背景があります。
物言わぬ動物が相手だからこそ生まれるドラマや感動もたくさんあります。
ここを読んでくれた方が少しでも、競馬・競走馬・騎手などに興味を持ったり
新たな発見があれば嬉しく思います。