乗馬で使用する道具には様々なものがあります。
前回の「乗馬を知る」で、ヘルメット・キュロット・ブーツ・グローブの選び方のコツを詳しくご紹介しました。
今回は、乗馬を始めて徐々に揃えることになるであろう
「ボディプロテクター」「拍車」「鞭(短鞭・長鞭)」の選び方のコツやポイントをご紹介したいと思います。
乗馬を知る
「乗馬を知る~乗馬用品の選び方/コツ・ポイント【ボディプロテクター・拍車・鞭 編】~」
を詳しくご紹介します。
おすすめのアイテムも同時にご紹介していますので、よければご覧ください!
先に乗馬で必要な道具一式について知りたい方は下記の記事を合わせてご覧ください。
それぞれの道具の役割や特徴などについても、こちらの記事でご紹介しています。
乗馬用品の選び方/コツ・ポイント【ボディプロテクターの選び方】

ボディプロテクターは、落馬の衝撃などから騎乗者の体を保護するために身につけるものです。
ボディプロテクターを選ぶ際のポイントは
- 安全規格を満たしているか
- ボディプロテクターのタイプ(種類)
- サイズ調整が可能かどうか
- 重さ
の4点を見てみると良いでしょう。
安全規格
現在、日本国内には乗馬用品の安全規格が設けられておらず、安価で安全性の低い乗馬用品が販売されている場合があるのため注意が必要です。
騎乗中は、どうしても落馬事故などの危険がつきまといます。
なので、ヨーロッパで制定されている安全規格を満たした乗馬用品の利用をすると良いでしょう。
ヨーロッパの安全規格は、乗馬をしているときに起こるであろう事故を想定し、体の重要な部分(脊髄など)を保護できるか、脱落しにくい構造になっているかなど様々な角度から安全性を確認し、厳しい試験に合格した乗馬用品にのみ付与されるようになっています。
ボディプロテクターは騎乗者の体を保護する大切な乗馬用品です。
なので、安全規格を満たしたものを選ぶことがとても重要になってきます。
ボディプロテクターの安全規格
安全規格「EN13158」は、日本で最も多く見かける安全規格です。
安全性がレベル1~レベル3に分けられており、数字の一番大きな「レベル3」が最も安全規格の高いものとなります。
安全性の一番低いレベル1は、プロフェッショナル限定のため一般のライダーにはおすすめされていませんのでご注意ください。
一般ライダーは、レベル2かレベル3の安全規格を満たしたボディプロテクターが推奨されています。
安全規格「EN1621」は
そんなに多くはないかもしれませんが、日本でもまれに見かけることがある安全規格です。
しかし、乗馬用の安全規格ではないため、使用は推奨されていません。
ボディプロテクターは「EN13158」の安全規格を満たしたものを使用するのが良いでしょう!
ボディプロテクターのタイプ(種類)
ボディプロテクターにはタイプが2種類あります。
季節によって使い分けたり、乗馬クラブの規定に則りレンタルや購入をする場合があるでしょう。
高反発タイプ
出典:via google imghp
厚みのある高反発素材で作られているボディプロテクターです。
プロテクト素材がクッションとなり、体を保護してくれます。
厚みのある素材の特性で、着用するとゴワゴワ感があるかもしれません。
脇部分にあるマジックテープや紐で固定し、サイズの調整ができるようになっていますが、サイズ調整のふり幅が少ないのが特徴です。
人によっては、着用サイズを選ぶのが難しい可能性があります。
もう一つのエアバッグタイプに比べると、比較的お安く販売されています。
しかし、安全規格を見たいしていない粗悪品が販売されていることもあるため購入の際には、お値段よりも「安全性を優先」して購入検討しましょう!
安全規格を満たしていないものや、コピーなどの粗悪品を身につけても保護の意味をなさないため、注意が必要です。
乗馬用品の通販サイトであっても、きちんと安全規格を満たしているものかどうかをしっかりと確認することが重要です。
また、フリマサイトなどの個人が販売しているものの場合、お値段は安いかもしれませんが安全規格を満たしているのかどうか、特に注意が必要になってきます。
エアバッグタイプ
出典:via google imghp
最新式のボディプロテクターです。
ほとんどの乗馬クラブが、このエアバッグタイプをレンタル、推奨しているのではないでしょうか。
エアバッグタイプのボディプロテクターは、エアバッグのコネクタを鞍につけて使用します。
もし落馬した場合、鞍につけたコネクタがボディプロテクターから外れ、衝撃が加わった瞬間にガスが噴射し中のエアバッグが膨らんで体を保護する構造になっています。
車のエアバッグと同じイメージですね。
体を保護する部分が違っていたり、エアバッグの膨らむ速度が違ったりと種類もいくつかあります。
乗馬用品の安全規格で、エアバッグタイプのボディプロテクターは最新の保護具として認められています。
ボディプロテクターのサイズ
ボディプロテクターは、脊髄など人間の体の重要な部分を保護する乗馬用品なので、自分の体のサイズに合ったもの、もしくはサイズ調整ができるものを選ぶことがとても重要です。
大きすぎてブカブカだと保護具としての機能は満たさないですし、逆にぴったりサイズだと窮屈で動きにくいことがあります。
また夏と冬では騎乗者の服装が変わるので、サイズ調整が必要になってくるでしょう。
なので、着用時にサイズ調整ができるボディプロテクターがおすすめです。
高反発タイプのボディプロテクターもサイズの調整は多少は可能ですが、先述した通りサイズ調整のふり幅が少ないので、薄着の夏場と厚着の冬場で2サイズ用意しておく必要があるかもしれません。
また、場合によっては通販での購入は難しいでしょう。
エアバッグタイプのボディプロテクターは、脇の部分のマジックテープで胴回りや胸周りのサイズを比較的 自由に調整できます。
エアバッグタイプは、季節の服装にあまり左右されずに着用できるボディプロテクターといえます。
高反発タイプにしても、エアバッグタイプにもしても、簡単に脱げないようにしっかりと体に固定することが大切です。
ボディプロテクターの重さ
ボディプロテクターは、軽いものをおすすめします。
重いボディプロテクターですと、体への負担が増えてしまうからです。
軽ければ軽いほど体への負担が軽減されるので、軽量のボディプロテクターがおすすめです。
1回のレッスン時間(30~45分ほど)以上 着用し続けても体への負担が少ないかどうか、しんどくないかどうか、を目安として考えると良いでしょう。
おすすめのボディプロテクター
それでは、安全規格を満たしている高反発タイプとエアバッグタイプのおすすめボディプロテクターをご紹介します。
高反発タイプ
ヨーロッパの安全規格である、EN13158を満たしたボディプロテクターです。
レベルは3なので、最も安全規格が高いものです。
4層の高反発素材が内蔵されており、非常に安全性の高い作りになっています。
脇の部分と肩の部分についているマジックテープでサイズ調整が可能となっています。
カラーは黒1色です。
エアバッグタイプ
日本でも有名なhit-air社のボディプロテクターです。
乗馬クラブで多く使われているのもこのタイプではないでしょうか。
コネクターを鞍につけて使用し、落馬の際などにエアバッグが作動します。
首、背中、胸、脇、お尻部分にエアバッグが内蔵されており、衝撃緩和します。
エアバッグ作動後も、本体に損傷がなければボンベを取り替えるだけで繰り返し使うことが可能。
アジャスターがついているので、サイズ調整も可能です。
カラーは黒1色です。
乗馬用品の選び方/コツ・ポイント【拍車の選び方】

拍車は、少ない脚力で大きな扶助を出せる、騎乗者のための補助道具です。
乗馬を始めたばかりの頃はそんなに必要ないかもしれませんが、上達していく中でどうしても必要になってくる道具の一つです。
自分の脚力以上の扶助を馬に与えることができるので、使用方法を間違えると馬の暴走に繋がる場合があり、選び方も使い方も注意が必要です。
拍車を選ぶ際のポイントは
- 拍車の種類
- 棒の長さ
- 棒の角度
の3点を見てみると良いでしょう。
拍車の種類
拍車には「輪拍(りんぱく)」と「棒拍(ぼうばく)」の2種類に分けることができます。
踵についている突起の違いで、呼び方が変わります。
扶助の強度は(馬への刺激)輪拍の方が強く、棒拍の方が優しくなります。
輪拍
出典:via google imghp
輪拍とは、踵の突起が円盤状になっているものを指します。
カウボーイが付けているギザギザの円盤状のものがそれです。
西部劇などでよく見かけますよね。
実際のウエスタン競技でも、輪拍が使用されています。
棒拍
出典:via google imghp
棒拍は、その名の通り棒状になっていて、棒の先端が丸く(ボール状)なっているものや角ばったものがあります。
ブリティッシュ乗馬では、主に棒拍の拍車を使用します。
一般的に、棒の先端が丸くなっているほうが、刺激が優しく扶助の強度がマイルドです。
角ばったものの方が、馬への刺激が強くなります。
棒拍の棒の長さ
棒拍には、棒の長さにも違いがあります。
棒が短い拍車は、馬のお腹への刺激が弱いものです。
これから拍車を使う練習をする初心者から、乗馬に慣れてきた中級者向けの拍車といえます。
お腹の刺激に対して敏感に反応する馬にも、刺激の弱い拍車を使用するのが良いでしょう。
棒が長い拍車は、馬への刺激が強くなります。
ベテランライダー向けの拍車といえるでしょう。
また、乗馬クラブなどでは反応が鈍い(重い)馬に使われる場合もあります。
棒拍の棒の角度
棒拍には、棒の角度にも違いがあります。
角度の違いで、馬への刺激の強度も違ってきます。
棒の先端が下へ向いているほど、馬への刺激が弱くなっていく特徴があります。
拍車は騎乗する馬によって使い分ける
拍車を使うにはメリットもデメリットもあります。
重たい馬に拍車を使用することで、脚扶助だけでは動かせなかった馬が動いてくれるというメリットがあります。
脚扶助ではなかなか動かない馬が拍車を使うことで動くということは、拍車は馬にとってとても威力のある道具ということになります。
そのため、ご自身が騎乗する馬によって拍車を使うか使わないかを考えることが大切です。
反応の良い馬や、刺激に敏感な馬に拍車を使うと暴走させてしまう危険性も考えられるため注意が必要です。
また、拍車を誤って使っていると馬のお腹に「拍車傷」という怪我を負わせてしまうことがあるので
十分に注意しましょう。
おすすめの拍車(棒拍)
拍車を使用するには、拍車本体とブーツと拍車を固定するためのベルトをセットで使用します。
以下では、おすすめの拍車をご紹介します。
ブーツへ装着したときに、拍車が滑りにくいようにラバーグリップがついている拍車です。
棒の先の形状は丸い(ボール状)なので、馬への刺激はマイルドです。
また拍車を止めるために使うベルトがセットになっています。
しかも、耐久性の高い牛革製のベルト!
拍車はステンレス製なので、錆びにくく長持ちするでしょう。
棒の長さは、20mmと30mm展開です。
一般的には、20mmのものが標準的な長さといわれています。
こちらも拍車が滑りにくいようにゴム加工されている拍車です。
棒の先端は丸いので、馬への刺激は優しい仕様です。
乗馬初心者から上級者まで使用する、定番の形の拍車です。
こちらもベルトがセットになっています。
ベルトの素材はナイロン製で、拍車はステンレス製です。
棒の長さは、15mm、20mm、25mmと3種類展開です。
突起が長くなるほど馬への刺激が強くなるので、一般的な20mmが推奨されています。
乗馬用品の選び方/コツ・ポイント【鞭の選び方】

鞭は、馬にとって非常に強い扶助道具になります。
実は、振るわなくても騎乗者が鞭を持っているだけで馬に強い刺激を与えている場合もあるのです。
鞭を持って騎乗するときは、指導員の指示に従い正しく安全に使うことが大切です。
鞭を選ぶ際のポイントは
- 鞭の種類
- 鞭の長さ
の2点を見てみると良いでしょう。
鞭の種類
出典:via google imghp
出典:via google imghp
鞭には大きく分けて、短鞭(たんべん)と長鞭(ちょうべん)の2種類があります。
短鞭は、馬の肩あたりに添わせて当てたり、合図を送るために使用します。
長鞭は、馬の腰から後肢に当てて使用します。
主に馬場馬術で使用されているのが長鞭ですね。
鞭の長さ
約50cm~75cmくらの鞭が、短鞭と呼ばれ
約100cm~120cmくらいの鞭が、長鞭と呼ばれています。
乗馬を始めて最初のうちは、短鞭の場合は馬の肩に添わせることができる約60cm~75cmくらいのものがおすすめです。
長鞭であれば、約100cm~110cmくらいのものがおすすめです。
乗馬に慣れてきたら、自分の好みに合わせて買い換えても良いと思います。
また、初心者のうちはストラップ(リストループ)付きの鞭がおすすめです。
手首をストラップに通しておけば、鞭を落とす心配がありません。
おすすめの短鞭
それでは、ここから初心者からベテランライダーにまでおすすめの短鞭をご紹介します。
リストループ付きの短鞭です。
長さは65cmと扱いやすい長さになっています。
色は黒とバーガンディの2色展開です。
お値段もお手頃価格ですよ!
カラー展開が豊富な、日本の乗馬用品ブランド「EQULIBERTA」の短鞭です。
グリップ部分にラバーを編み込んだ滑りにくい仕様になっています。
長さは約65cmです。
カラー展開は8色と豊富に用意されています。
おすすめの長鞭
以下では、おすすめの長鞭をご紹介します。
お値段的にもお手頃価格のものです。
日本の乗馬用品ブランド「EQULIBERTA」の長鞭です。
上記でご紹介した短鞭と同じデザインで同じカラー展開の長鞭なので、短鞭と長鞭のデザインとカラーを揃えたい方に特におすすめです。
また、長鞭にはストラップを通せる穴が付いているので、そこにストラップをつけて手首を通して使用すれば、鞭を落とす心配がありません。
長さは約110cmです。

私は、このEQULIBERTAの短鞭と長鞭を愛用しています。
短鞭、長鞭と同じ色でお揃いにしています。
グリップ部分の滑り止めが思いのほか効くので、リストループのついていない短鞭でも落としにくいですよ!
ドイツの老舗乗馬用品ブランド「Waldhausen(ヴァルドハウゼン)」の長鞭です。
グリップ部分にベロア調の素材が施されていて滑りにくくなっています。
長さは110cmと120cmの2種類が用意されており、カラーは4色展開です。
乗馬用品の選び方/コツ・ポイント【さいごに】

今回は、ボディプロテクター、拍車、鞭の選び方のコツやポイントについてご紹介しました。
いかがでしたか?
最後に、それぞれの選び方のコツとポイントをおさらいも兼ねて、もう一度ご紹介します。
ボディプロテクターは、安全規格を満たした高反発タイプのものか、乗馬クラブで多く使用されていて、新しい保護具として認められているエアバッグタイプの2種類から選ぶようになります。
体の重要な部分を保護してくれる道具なので、自分の体のサイズに合ったもの安全性が保障されているものを選ぶことが、とても大切です。
拍車は、脚扶助を助けてくれる道具です。
馬にとっては刺激の強い道具になるので、その使い方には注意が必要です。
重い馬、敏感な馬など、騎乗する馬の特徴に合わせて拍車を使うのか使わないのか考えていきましょう。
指導員に相談して指示を仰ぐのも良いです。
短鞭は馬の肩に添わせて使用し、長鞭は腰から後肢に添わせて使用します。
必ずしも振るう必要はなく、肩に当てているだけ、腰から後肢に当てているだけでも十分に馬への扶助になります。
鞭も拍車と同じで、馬にとっては強い扶助道具になります。
持っているだけで効果的なことがあるほどなのです。
なので鞭の使用にも十分に注意しましょう。
ご自身に合った乗馬用品を身につけて素敵な乗馬ライフを♪
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
参考になれば幸いです。