別の記事で、乗馬初心者必須アイテムとして
「ヘルメット」「キュロット」「ブーツ」「グローブ」
の4点についてご紹介しました。
乗馬では上記4点の道具の他にも、色々な道具を使用します。
乗馬を知る 第6弾
「乗馬で必要な道具一式【騎乗者編】」
今回は、乗馬で必要な道具の中でも、騎乗者が身につける道具について
それぞれの役割や特徴などについて詳しくご紹介します。
乗馬には人用と馬用がある
乗馬の道具には、人が身につけるものと、馬が身につけるものがあります。
【人が身につけるもの】
- ヘルメット
- キュロット(乗馬ズボン)
- ショートブーツ+チャップスもしくは長靴
- グローブ
- プロテクター(エアーバックベストなど)
- 拍車
- 鞭(単鞭・長鞭)
【馬が身につけるもの】
- ゼッケン
- ゲル
- ボア
- 腹帯
- 鞍(鐙含む)
- プロテクター
- ハミ
- 頭絡
- 無口
【馬が身につけるもの~番外編~】
- イヤーネット
- 馬着
- ワンコ
ざっと挙げただけですが、人が身につけるものよりも
馬が身につけるものの方が多いですね。
馬が身につけるものは、乗馬クラブで貸してくれるところがほとんどだと思います。
しかし、不思議なもので乗馬を続けていると
馬が身につけるものであっても、自分用が欲しくなってくるかもしれません。
ここからは、それぞれの道具の役割や特徴などについて
詳しくご紹介していきます。
人が身につけるもの 【ヘルメット】
頭部を守るのに欠かせないものがヘルメットです。
乗馬は動物と一緒に行うスポーツです。
相棒は動物なので、いつも人の思い通りにいくわけではありません。
時にはアクシデントが起きて、落馬をすることもあります。
そのため、頭部を守るための乗馬用ヘルメットは必須です。
乗馬用のヘルメットは、自転車用などのヘルメットよりも
広い範囲をカバーできる作りになっています。
また、頭にぴったりフィットさせるために
最近のヘルメットは、サイズ調整が可能なダイヤルがついているものが多いでしょう。
頭よりも大きくてブカブカだと保護具としての役割を果たさず
逆に小さいと頭部を締め付け頭が痛くなるため
ヘルメットは自分の頭のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。
乗馬用品のほとんどは外国製のものが多く、ヘルメットも欧米人サイズで作られています。
欧米人と日本人では骨格が違うので
自分の頭部のサイズを正確に測りヘルメットを選ぶようにしましょう!
頭部のサイズは、眉毛の上あたりから耳の上を一周した長さを測ります。
頭部の横幅が広いなと思う方は、測った数字に1~2㎝足した数字で
ヘルメット選びをすると良いでしょう。
また、似たようなサイズ表記でもメーカーによって数字が違うこともあるため
ヘルメットを新しく購入する際は、その都度 頭部を測り直し
ヘルメット選びに役立てると良いです。
人が身につけるもの 【キュロット(乗馬ズボン)】
乗馬用のズボンのことをキュロットと呼びます。
キュロットは、普通のズボンよりも分厚く伸縮性のある生地で作られており
ヒザやお尻の部分に滑り止めが施されています。
これにより、鞍に座ったときお尻や足の位置がズレることなく
安定した騎乗をすることができます。
キュロットには、裾(足首)のタイプが2種類
滑り止めのタイプ(位置の違い)が3種類と、それぞれ特徴があります。
ブリーチタイプとジョッパーズタイプ
足首周りをマジックテープで留めるキュロットは「ブリーチタイプ」
マジックテープのないキュロットは「ジョッパーズタイプ」
とキュロットの足首タイプには2種類があります。
ブリーチタイプは、昔からある形で足首周りをマジックテープで絞って止め
裾をブーツの中に入れて着用します。
一般的にロングブーツに適した形といわれていますが
ショートブーツでも履くことができます。
ジョッパーズタイプは、マジックテープはなく通常のズボンの裾と同じ形をしており
裾をブーツの外に出して着用します。
一般的にショートブーツに適した形といわれていますが
ロングブーツでも裾を折り込んでブーツの中に入れ履くことができます。
また最近では、裾の部分が伸縮生地で作られたものもあり
足首周りにぴったりフィットするタイプのキュロットもあります。
共布と尻革とヒザ革
キュロットは鞍に接する内股(ヒザ)とお尻(ヒップ)部分の生地が3種類のタイプにわけられます。
①共布:ヒザの内側にキュロットと同じ素材の生地を当てたもの
②ヒザ革:ヒザの内側に革を当てたもの
③尻革:ヒザの内側からヒップにかけて革を当てたもの
革の部分は合皮スエードが多く、鞍の上で滑りにくく
姿勢を保ちやすくなるため安定して騎乗できます。
また、鞍と擦れる部分が革なので、丈夫で長持ちします。
最近では、革の部分がシリコンタイプのキュロットも販売されており
グリップ力(滑り止め効果)が高くフィット感も良いため、近年はシリコンタイプも人気です。
人が身につけるもの 【ショートブーツ+チャップスもしくは長靴】
乗馬で使うブーツは大きく分けて、ショートブーツにチャップスをつけるものと
長靴のような形のロングブーツの2種類があります。
大会によって規定は異なりますが、大会によっては
ロングブーツでの出場しか認めていない場合があります。
素材にも違いがあり、本革製・合皮製・ラバーの3種類があります。
ロングブーツ
ロングブーツは長靴(ちょうか)、ジョッキーブーツとも呼ばれ
つま先から膝下まで一体型で覆っているので、水や砂などが入りにくく快適ですが
足首が固定されるので慣れるまでは歩きにくく脱ぎ剥履きも少し苦労するかもしれません。
ショートブーツ
ショートブーツはジョッパーズブーツ、チョッパーブーツとも呼ばれ
丈の短いブーツにチャップスと呼ばれる巻き革をふくらはぎの部分に巻いて使用します。
足首が自由に動かせ脱ぎ履きもしやすく
チャップスは伸縮性があるので足にフィットしやすくなっています。
また、スエード生地のチャップスは滑り止めの効果も期待でき
騎乗時に姿勢を安定させやすくなる特徴もありますが、お手入れが少々大変かもしれません。
本革と合皮とラバー
ブーツの素材には、本革・合皮・ラバーがあります。
①本革
出典:via google imghp
本革は丈夫でしっかりとメンテナンスを行えば、長く履くことができます。
また、履き続けることで自分の足の形に合わせて革が伸びていくので
足の形にフィットするようになるでしょう。
②合皮
出典:via google imghp
合皮は見た目が革のような素材ですが、革よりも価格がお安めです。
素材の特性で、徐々に劣化していくので、いずれは買い替えが必要になるでしょう。
また、合皮にはPUとPVCがあります。
PUレザー
ポリウレタン樹脂。
柔らかくしなやかで、本革に近い質感があり疑似本革としては最高級にあたります。
PVCに比べると通気性があり、撥水性も高いのでメンテナンスが簡単です。
PVCより経年劣化はしにくですが、本革に比べると耐久性が劣るのが特徴です。
PVCレザー
塩化ビニル樹脂。
耐久性が高く汚れに強いので、水や中性洗剤で拭くことができメンテナンスが非常に簡単です。
PVCレザーは、通気性や弾力性、柔軟性ではPUレザーに劣りますが
比較的 安価で手に入れることができるのが特徴です。
③ラバー
出典:via google imghp
ラバーは非常に丈夫で長持ちする素材です。
防水素材になっているので、雨の日の騎乗や水仕事にも向いています。
また外面を水洗いできるのでメンテナンスも簡単に行えるでしょう。
ラバー製のロングブーツは、後ろ側にファスナーがなく
上から足を突っ込んで履くようになるので、足にフィットさせることが難しいといえます。
騎乗で重要な足首周りに余裕ができやすいので、乗りやすさは劣るといえます。
人が身につけるもの 【グローブ】
乗馬用のグローブは、手綱の摩擦などから手を保護してくれます。
手綱を握るときに擦れる部分を重点的に補強されており、手首を固定できるタイプが多いです。
また滑りにくく、手綱をしっかり握り、馬とのコンタクトを取りやすいように作られています。
人が身につけるもの 【ボディプロテクター(エアバッグベストなど)】
主に落馬や不慮のアクシデントの衝撃から、体を保護してくれるのがボディプロテクターです。
乗馬クラブによっては、このボディプロテクター着用を義務付けているクラブもあります。
(ボディプロテクターはレンタルできる乗馬クラブがほとんどですので
即購入しなくても大丈夫です。)
ボディプロテクターには、通常タイプとエアバッグタイプのものがあります。
いずれも、衝撃吸収や体の保護のための機能を有しています。
通常タイプ
厚みのある素材がクッション代わりになり、衝撃から体を保護します。
紐やマジックテープでサイズ調整ができるものが多いですが
サイズ調整できる振り幅が少ないので、人によっては着用サイズを
選ぶのが少し難しくなるかもしれません。
乗馬クラブや実店舗があれば、スタッフに相談しながらサイズを選ぶのが良いかもしれません。
エアバッグタイプ
衝撃が加わった瞬間にガスが噴射してエアバッグが膨らみ体を保護します。
車のエアバッグと同じイメージで良いかと思います。
乗馬用品の安全規格で、エアバッグタイプは最新の保護具として認められています。
人が身につけるもの 【拍車】
少ない脚力で馬に大きな扶助を与えることができる補助道具が拍車です。
拍車は正しく使えれば、自分の扶助の手助けとして大きな効果を発揮してくれます。
拍車には大きく分けて、輪拍(りんぱく)と棒拍(ぼうばく)の2種類があります。
輪拍は先がギザギザになっているもの
棒拍は先端が平らなものやボール状になっているものを指します。
日本の乗馬クラブの多くはブリティッシュ式を指導しているクラブが多いと思います。
ブリティッシュ式の場合は棒拍の拍車を選ぶと良いでしょう。
輪拍は主にウェスタン式で使われます。
人が身につけるもの 【鞭(単鞭・長鞭)】
鞭には、単鞭(たんべん)と長鞭(長鞭)の2種類があります。
競技の種類によって、長さや使い分けをしたりします。
単鞭は主に、馬の肩に入れて使います。
また、持っているだけでも馬の注意力を騎乗者に向けさせる効果もあります。
長鞭は主に、馬のトモ(後ろ脚。太ももに近いところ。)に入れて使います。
また、長鞭をトモに当てているだけでも馬の注意力を引くのに効果があります。
一気に揃えなくて良い
乗馬ではたくさんの道具を使用することが分かりました。
でも、全てを一気に揃える必要はありません。
人が身につけるもので
初心者のうちはヘルメット、キュロット、ブーツ、グローブがあれば十分です。
プロテクターはクラブでレンタルしてくれるところが多いのでレンタルすれば大丈夫です。
初歩の初歩から鞭や拍車など必要ありません。
今後 続けていけるかどうか分からないのに
いきなり全てを揃えたり、高額な道具を購入する必要は全くないのです。
乗馬に慣れてきたり、レッスンのクラスが上がって必要が出てくれば購入する。
そのくらいの緩いペースで何も問題ありません。
ちなみに、私はその緩いペースで道具を揃えています。
一通りは揃えましたが、ボディプロテクターはまだ買っていません。
レンタルしています。
最後に
人が身につける乗馬の道具は様々あり、素材も一つではありません。
最初はややこしく感じるかもしれませんし、迷うかもしれません。
実際、使ってみないと何が自分に合っているのか分からないといったものも出てきます。
なので、最初は安いもので自分のサイズに合ったものからスタートしてみるなど
ご自身に合った選び方でも良いと思いますし
乗馬クラブのスタッフに相談しながら選ぶのもとても良いと思います。
お住まいの地域に乗馬用品店があるなら、店員さんに聞いてみるのもいいでしょう。
乗馬クラブによっては、最初からある程度 自分用の道具を揃えるように
勧められる場合があるかもしれませんが、焦る必要はないと個人的には思っています。
しかし、中には自分の体を守るための道具もあるため
そういったものは購入検討する価値は十分にあると思いますが
乗馬クラブでレンタルしてくれるなら最初のうちはレンタルでも十分でしょう。
まずは、道具の役割や特徴を知ってから購入検討をするでも全然良いと思います。
たくさんの選択肢の中から、色々見て悩んで選ぶのも楽しみの一つです。
道具の役割や特徴を知って自分に合ったお気に入りの道具を手に入れて、素敵な乗馬ライフを♪