馬は昔から人と一緒に生活してきました。
今でもお祭りや観光地など、普段の生活で目にする機会の多い馬。
わりと人と近いところで生活している動物でありながら、犬や猫と比べて
詳しく知らない動物ではないでしょうか。
人との付き合いが長い馬とはどんな動物なのか、詳しくご紹介します。
馬の性格・特徴

馬は草食動物で、攻撃的な面を持ち合わせないとても大人しく優しい動物です。
その大きな体とは対照的に、臆病で敏感な面も持ち合わせています。
そのため、人が優しく接しないと、人に対して敵意を持ってしまいます。
馬に接するときには、馬の気持ちを考えながら優しく接することが大切です。
体の大きさ

80cmの小さな馬から、180cmの大きな馬まで、馬にはたくさんの種類がいます。
大きさの測り方は色々ありますが、一般的には体高(地面から肩までの高さ)、
胸囲、体重などで表します。
体の大きさは馬によってそれぞれ違います。
大きな馬
出典:Wikimedia Commons
体高:170~180cm/馬体重:800~1000kg
この馬は、荷物を運んだり、馬車をひいたりする使役馬として飼育されてきました。
北海道で行われている、ばんえい競馬で活躍しているのは、この種類の馬です。
主な種:ブルトン種、ペルシュロン種 他
比較的大きな馬
出典:Wikimedia Commons
体高:160~170cm/馬体重:400~500kg
この馬は、乗馬や競馬に多く使われています。
日本をはじめ、世界中の競馬で活躍しているのは、この種類の馬です。
主な種:サラブレット種、アラブ種 他
比較的小さな馬
出典:Wikimedia Commons
体高:120~150cm/馬体重:350~400kg
この馬は、乗用やポロ競技などに使われています。
主な種:クォーターホース種、ハフリンガー種 他
小さな馬
出典:Wikimedia Commons
体高:80~100cm/場体重:30~100kg
大型の犬よりも小さなこの馬は、子供の乗馬やペットとして飼われています。
世界一小さい馬、ファラベラのように80cm以下の馬もいます。
主な種:アメリカンミニチュアホース種、ファラベラ種 他
馬の目

馬の目は350°の視界を持ち、左右の目で別々のものを見ることができます。
視力は人の0.6倍といわれています。
馬の目の最大の特徴はその視界の広さでしょう。
馬の視界は真後ろを除く350°を見渡すことができます。
また、馬の目は「単眼視」といって、左右の目で別々のものを認識することができます。
これは、馬が野生だったころ、天敵である肉食動物をいち早く見つけて逃げるために役立っていたと考えられています。
そして、馬の眼球は哺乳類の中でも大きく、重量が100gもあります。
ワシの眼球が65g、ブタの眼球が19gであることから
馬はとても大きな目をしていることが分かります。
馬の鼻

嗅覚は人の1,000倍といわれています。
馬はとてもニオイに敏感な動物で、自分の子供や人をニオイで区別しています。
帰巣本能が高いといわれている馬ですが、これもニオイを頼りにしていると考えられています。
また、馬は鼻呼吸です。
口からは空気を吸えないため、鼻から多くの空気を取り込みます。
速く走るときなどは、走りながらたくさんの空気が吸えるように鼻を大きく開きます。
馬の耳

馬の耳はレーダー。感情も耳の動きで表現します。
馬はとても音に敏感な動物で、耳はレーダーのように左右別々に動き
180°回転させ音のする方角を探しています。
馬の耳の周りには10の筋肉があり、この発達した筋肉により耳をレーダーのように
動かすことができるのです。
超音波など人の耳には聞こえない高音域まで聞くことができます。
音質の判断能力にも優れており、いつも接してくれる人の車のエンジン音や、
メロディーを聞きわけることができるといわれています。
また、威嚇するときには耳を後ろへ寝かせたり、
何かに注意を払うときは音のする方へ耳を立てたりと、馬は耳の動きで感情を表現します。
馬の脚

馬は、人間でいう中指だけで立っている状態です。
人間の足には5本の指があり、踵から下を地面につけて立っています。
馬の脚を見ると蹄があるだけで、足の指や踵にあたるものが見られません。
馬の脚を人間に置き換えてみると、中指の先だけで立っていることになります。
これは、中指以外が退化して、中指の爪が蹄に変化したからといわれています。
なので、馬の後ろ脚の中ほどにある少し出っ張った関節は、人間の踵に相当します。

馬の蹄

「蹄なくして馬なし」という言葉があるように、蹄は馬にとって非常に大切なものです。
馬の蹄は歩行時に拡張と収縮を繰り返しています。
このことを蹄機(ていき)作用といいます。
馬は体重が重いことや、蹄は心臓から遠い末端にあることから、心臓の働きだけでは蹄先まで十分に血液を巡回させることができません。
そこで蹄機作用によって蹄が拡張と収縮を繰り返すことで、蹄の内部の血液を心臓まで戻す手助けをしています。
馬にとって蹄はいわば「第二の心臓」
蹄の病気が原因で命を落とすこともあるほど、馬にとって蹄はとても大切なものなのです。
馬の食べ物

馬といえば干し草や人参を思い浮かべる人も多いかと思いますが、実は甘いものも大好きです。
主食は青草(干し草)です。
おやつとして人参やリンゴなどの甘いものを喜んで食べます。
角砂糖も好きですが、あげすぎると虫歯になるので注意が必要です。
馬が食事をするときは、まず上唇でより分けた干し草を前歯で噛みちぎり、
舌を使って奥歯まで送ります。
そして臼歯で挽くようにすり合わせて細かくして食べています。
主食(干し草):比較的大きな馬が1日に食べる量
おおよそ12kg~17kg
おかず
エン麦、大麦、大豆、トウモロコシなど
おやつ(ごほうび)
人参、リンゴ、角砂糖、ホースクッキーなど
水:比較的大きな馬が1日に飲む量
おおよそ25L
馬の記憶力

馬は犬と同じくらい、記憶力が良い動物です。
一度 学習すると大きなブランクがない限り、学習したことをしっかりと覚えている
といわれています。
この記憶力の良さのお陰で、人は馬に乗ることができるのです。
馬の寿命

馬の寿命は20~30年です。
最も寿命が長い動物は人間です。
亀が200歳まで生きたという記録が残っていますが、それは非常に特殊な例で
100歳以上の長寿が多くみられるのは人間だけといわれています。
馬の平均的な寿命は20~30歳といわれており、動物の中でも比較的 長寿です。
40年も生きればとても長生きといえるでしょう。
ギネスブックに載っている最高年齢の馬はなんと62歳!
睡眠時間と寝る姿勢

馬の睡眠時間は短く、立ったまま寝ることもあります。
馬をはじめとする草食動物は睡眠時間が短く、馬の場合はだいたい4時間ほどです。
これは、天敵を常に警戒していた野生の頃の名残といわれています。
また、草食動物は餌を食べる時間が長いため、睡眠時間が短いとも考えられています。
馬が眠るときの姿勢は、立って眠る場合と、腹ばいになって眠る場合とがあります。
疲れているときや警戒していないとき、また仔馬は横たわって眠ることもあります。
馬の力

馬はいろいろな大きさや種類のものがいて、一口に馬の力といっても
正しく表すことは難しいですが、とても力持ちな動物です。
北海道で行われている「公営ばんえい競馬」では馬が力強く活躍している姿が見られます。
この競馬は700~1000kgもある重いソリを引いて競争する競馬です。
このように重いソリを引いて競争できる馬は、とても力持ちな動物といえるでしょう。
これらの競技は、昔 馬が農作業をはじめ、荷物や木などを運んだりする仕事で
力を発揮していたころの名残です。
現代では自動車や機械の発達により、働く馬の姿はごく一部の地域でしか
見られなくなってきました。
最後に

今回は馬の性格や特徴、体についてご紹介しました。
普段の生活の中でよく目にする動物でありながら、その性格や特徴についてあまりよく知らない馬という動物。
体が大きいので恐怖心を持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、馬はとても優しい動物です。
今後、馬の種類や蹄や体についてなど、個別記事でもう少し詳しくご紹介していきます。
そしてここを訪れてくださった方が、少しでも馬について知り、
好きになってくれるといいなと思います。