馬にはたくさんの品種がいます。
前回は馬の品種、「軽種」「中間種」「重種」「在来種」「ポニー種」の中から
「中間種」についてご紹介しました。
合わせて読みたい
馬を知る~馬の品種【中間種】~
馬を知る~馬の品種【軽種】~
今回は「重種」についてです。
馬を知る第四弾。
馬の品種【重種】についてご紹介します。
重種って?と思う方はこちらの記事をご覧ください。
馬の分類についてご紹介しています。
シャイアー
出典:Wikimedia Commons
体高:約160~170cm
シャイアーはイギリスが原産の大型馬です。
平均の体高は約160~170cmですが、なかには180cmを超え
体重1トンを超えることも珍しくありません。
世界最大として記録されてきた巨大な個体が生まれてきているのも、このシャイアー種です。
シャイアーはアメリカでも人気を博し、1900年代前半にはおよそ4000頭がアメリカへ渡り
荷物などを牽引する役割を果たしてきました。
しかし、機械化が進むにつれシャイアーの需要は少なくなり
一時期は絶滅の危機に瀕しましたが、現在は保護活動が進めれ頭数は増加傾向にあります。
シャイアーの毛色は、鹿毛や青鹿毛が多いですが、青毛や芦毛もみられます。
長い顎と雄大な肩にたくましい腰を持ち
四肢は長めで足元が白い馬が多いのも特徴のひとつです。
シャイアーは大人しい性格と、10馬力を超える力強さを生かして
現在は馬車馬やサーカスなどで活躍しています。
イギリスでは、ビール樽を積んだ馬車を引く馬としても知られており
多くの有名な醸造所が宣伝として馬を使い、保護にも協力しています。
ブルトン
出典:Wikimedia Commons
体高:約150~160cm
ブルトンは、フランスのブルターニュ地方が原産の馬です。
この地方の在来種にペルシュロン、アルデンネ、ブーロンネが交配され誕生しました。
ブルトンにはかつて4つのタイプの馬が存在しましたが、現在は2つのタイプの馬が
公式に認められており、ポスティエ・ブルトンとトレ・ブルトンに分類されています。
ポスティエ・ブルトンは、ノーフォークやハクニーとの交配で誕生し
馬車馬や農耕馬として活躍しています。
トレ・ブルトンは、アルデンネの血が入っており、ポスティエ・ブルトンよりもやや大柄で
主に食肉用として生産されています。
毛色は、粕鹿毛、ブルーローン(黒の被毛に赤褐色の毛が混じる)、栗毛、鹿毛で青毛は稀です。
強力な筋肉を持ち、短い顎と太くてたくましい胴体が特徴の大型馬です。
ブルトンは、北海道のばんえい競馬の輓馬の改良のために
ペルシュロンとともに多く用いられています。
活発でスピードがあり、農作業をこなせることからフランスでは
ブドウ農園などの作業でも活躍しています。
ペルシュロン
出典:Wikimedia Commons
体高:約158~172cm
ペルシュロンは、フランス・ノルマンディのペルシュ地方が原産の馬で
世界的に最もよく知られた輓馬です。
品種名は原産地であるペルシュからつけられました。
ペルシュロンの品種名が生まれたのは1822年頃で、比較的近年に成立した品種とされてます。
ブローネンおよびブルトンを基礎に、アラブを交配して誕生したと考えられています。
1883年に最初の血統書が発刊されました。
19世紀にはアメリカ合衆国、イギリス、アルゼンチンなどに多く輸出され
日本にも第二次世界大戦前は軍事改良のため、戦後はばんえい競争馬の生産のために
輸入されてきました。
現在では、原産国フランスよりもアメリカでの生産頭数のほうが多いといわれています。
毛色は様々ですが、芦毛や青毛の馬が多くみられます。
肉質で頚が太く、頭部には気品があるのが特徴です。
ペルシュロンは、その大きな体と大人しく従順な気性を生かし
乗用や馬車競技、輓馬など幅広く活躍しています。
クライズデール
出典:Wikimedia Commons
体高:約162~183cm
クライズデールは、スコットランドのラナーク州が原産の馬です。
1800年代の中頃、この地方の在来種の雌馬にフランダースの雄馬を交配し誕生しました。
1930年代頃は、ペルシュロンやシャイアーなどと比べると小さい品種でした。
しかし、1940年代に入るとショーやパレードで印象的に見せるために
大きい馬を種牡馬の選定基準としたために、現在では大きい体を持つようになった
といわれています。
毛色は、鹿毛や青鹿毛がほとんどで、青毛や粕毛もみられます。
また、顔や脚元に白い模様が見られる馬がほとんどです。
頭の幅が広く、長い顎とたくましい背中、豊かな距毛が特徴です。
クライズデールは、大きな体と力を大人しく従順な気性を生かし
馬車馬やビールなどの荷物の運搬用として活躍しており
19世紀後半から20世紀前半にはオーストラリアやニュージーランドを中心に
多くの馬が輸出され人気を博しました。
また、アメリカのビール会社であるバドワイザーのマスコットキャラクターにも選ばれており
バドワイザークライズデールと呼ばれCMにも出演し、たくさんの人に親しまれています。
ベルジャン
出典:Wikimedia Commons
体高:約160~170cm
ベルジャンは、ベルギーのブラバント地方が原産の馬で、ブラバントとも呼ばれます。
古くからベルギーで飼育されており、他の品種の影響はほとんど受けていません。
他の品種との混血が少ないため、それぞれの馬の体格差はそれほど大きくありません。
毛色は栗毛や粕毛が多く、芦毛はあまりみられません。
頭部は短く、太い顎を持ち、背中は短めです。
また、前後躯はガッチリとしているのが特徴です。
ベルジャンは、シャイアーやクライズデールなどの品種改良に
大きな影響を与えたといわれています。
現在は、アメリカでも人気になり農作業の農耕馬に使われる他にも
ショーなどでも活躍しています。
最後に
いかがでしたか?
今回は、馬の分類「重種」からその代表的な品種についてご紹介しました。
重種は、ばんえい競馬で活躍していることから
ばんえい競馬を見たことがある方は目にしたことがあるかと思います。
他に、競馬場などでも活躍している馬もいるので
珍しいとはいえ以外と身近なところで見られる品種かもしれません。
次回は「在来種」の品種についてご紹介したいと思います。